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A面/そして光は灰になる



 ペンが転がる 黒いインク 暗い部屋
 電灯はどこ 手元が見えない
 押しつぶされた光のように
 粉々に砕け散って ずっと
 ペンが転がる どこへ行く
 分からない なにも分からない

  あなたが愛した人の名前を紙に
  書いて,そして燃やすの

 ああ灯りをちょうだい なにも見えない
 燃えて 燃えて 灯りになって
 私に光をちょうだい なにも見えないの
 暗いものに包まれて
 ここはどこ

 ペンが転がる音がする
 黒いインクが飛び出して
 手元が濡れて 目を閉じて
 ここはどこなの 暗い部屋

  あなたが愛した人の名前を紙に
  書いて,そして燃やすの

 部屋を出た先に 待っていたこの部屋
 真っ暗の 永遠の夜を

 ずっと願っていた外がこんなところ
  あなたが愛した人の名前を紙に
  書いて,そして燃やすの
  あなたが愛した人の名前を紙に
  書いて,そして燃やすの
 もう帰れない おしまい 真っ暗 人生
 踏み出して 転んで ペンは ひしゃげて
 押し潰されて ああ なにも見えないの



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