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07◆ 机の中にあるものは


 机の中にあるものは
 全て僕のものだった
 机の中にないものは
 たいてい他人のものだった

 机の中にあるものは
 全て僕のものだった
 机の中にないものは
 ほとんど他人のものだった

 ほんの一部の僕のもの
 それは誰にも触られず
 誰も浚ってくれないで
 誰も知らない僕のもの

 誰も借りにきたりはしない
 僕は誰にもものを貸さない
 この不純なようで当然の毎日が
 どうでもよく過ぎていく

 机の中にあるものは
 全て僕のものだった
 机の中にないものは
 たいてい他人のものだった

 机の中にあるものは
 全て僕のものだった
 机の中にないものは
 ほとんど他人のものだった

 ほんの一部の僕のもの
 それは誰にも触られず
 誰も関わろうとしないで
 誰も知らない僕のもの

 別におかしなものじゃない
 みんなと同じものだろう
 だけど誰もそれを見ない
 誰も僕のは掴めない

 そうやって毎日が過ぎて
 僕はまた ネクラのビームを撃ってみた
 掠ることなく消えていく
 僕の知らない僕のもの




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© 2012 Kobuse Fumio