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21○ 迷子


 ゆーえんち!
 you and ちー!

 捜してる 人屑の迷子は
 ここだよ! モールス信号
 ……と そういうことにして

 ぼくは二人の邪魔をしないように
 勝手にドロンしちゃうのれす!

 いつもこうやって
 お馬鹿なキャラを演じているけど
 その延長線上みたいなもので“ぼく”を使っているのだけど
 あははー 板に着いちゃった☆彡

 二人がぼくを捜し回ってる
 ぼくは見つからないように
 ってうわー! なにこのメリーゴーランドオオオオ

 そうやって あっけなく見つかっちゃうのだけど
 てへへへ

 ゆーえんち!
 you and ちー!

 ぼくに特別な人はいない
 みんなを見つめて
 見つめて それだけ

 ぼくを特別視してくれる人はいない
 みんな奇異の目で
 楽しんでくれる それだけ

 そのうち つらくなってきて
 それを忘れるために白痴になったとしても
 馬から落ちないように 馬の首を絞めて
 ただぼんやりと続く 未来の先に

 明日っていう言葉が見えるなら

 ねえ やり直すことはできないの?
 ぼくは今 後悔しています
 こうやってキューピットみたいなことを まるで馬鹿な子みたいにおこなって
 それだけの子
 それじゃぼくは 満足できない

 ねえ誰か
 ぼくにあめちゃんを頂戴よ
 あまい あまい お空のように
 ぼくを包み込んでくれるものを

 ぼくは今 後悔しています
 それは馬の速さでも拭い取ることはできなくて
 例えばこの前 林に火をつけたとき
 未来を計算しつくしたわけではなかったのだけど
 ぼく以外の人がハッピーエンドになるとは思っていたから

 宿題をクラスメイトにやらせたのが
 アリバイ工作だったとして
 居候させてあげてる コンタクトの似合う子の
 シャンデリアの螺子を緩くしていたり
 カーペットに少しだけ灯油を染み込ませたりだとか

 ねえ誰か
 ぼくに あめちゃんを

 ねえ 誰か
 ぼくに




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© 2012 Kobuse Fumio