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24▼ 今日を生きてる俺たちは


 俺はなにも分かっちゃいないし
 俺はなにも信じちゃいない

 肯定したがりなのではなくて
 否定することを嫌っているわけでもなくて
 俺はただ こうやって今日を生きてきたのだから

 そのシンプルな選択に
 責任者の俺は顔を渋めることさえできずに
 きっと喜ばしい未来を 讃えるまでもなく用意してくれていたんだろう

 俺たちは 今日を生きている
 明日のことは “今日”になれば分かることで
 昨日のことも “今日”になって分かったのだから

 折り重なる物語は
 きっとどこかに糸口があって
 その糸を引っ張ってしまっても 切ってしまっても
 たぶん 明日はやってくるから

 俺は結局 みんなと
 離れることが嫌なのだろうから
 ぐるぐるぐるぐる 俺たちは
 あの全速力のメリーゴーランドのように
 元気一杯に生きるべきなんじゃないだろうか

 なあ おい
 だからアイツとは
 ずっと幼馴染でいるつもりで いわゆる腐れ縁のつもりで
 これからもまた 笑い合っちゃいけないのだろうか
 そう言うとアイツは
 ばたんと本を閉じて

 明日 また来るって
 そういう物語があってもいいはずだった
 俺はアイツを恋愛感情で見ることはできない
 それはずっと昔 キャンプのときに知っていただろ?

 今日を生きてる俺たちは




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© 2012 Kobuse Fumio