わたしの視聴率はゼロパーセント。
わたしを見たり聴いたりする人は一人もいない。鏡があればわたし自身がいるけど、わたしの他には誰もいない。
わたしはテレビ番組に出たことがない。テレビの画面をのぞき込んでも、誰もその姿を撮ってはくれない。テレビの黒い画面にわたしの顔が反射するだけだ。その顔を見てくれる人もいない。
わたしの視聴率はゼロパーセント。
テレビを駅前のかたわらに置いた。わたしはそれに腰掛ける。
ギタリストになるのが夢だった。それはもう叶わない。
テレビを椅子にして、愛用のギターを弾く。Fコードが苦もなく弾けるようになったときは嬉しかった。楽しかったあの頃を思い出しながら、わたしは弦を撫でる。
わたしの視聴率はゼロパーセント。
立ち止まってわたしの音楽を聴いてくれるような人は、もう誰もいない。一人もわたしに目を向けない。
わたしは地球で、最後の一人。