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飲む


 コーヒーカップを覗き込むと中に異国の景色が入っていた。コーヒーはサバナ気候だった。ライオンが樹の下で群れを作っている。離れたところでシマウマが川の水を飲んでいる。その間をゾウの群れがゆっくりと歩いている。私は一気に飲み干した。動物と草原が混ざり合い喉の奥に消えていった。コーヒーの味だった。ふいに天井が消えた。空を仰ぐとシマウマと目が合った。シマウマは口をすぼめ空をくわえ込み、私もろとも飲み込んだ。


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© 2018 Kobuse Fumio