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ぬくい夜風が頬を叩いた。屋上、きみは汗をぬぐい、星を見上げる。夜の学校は風の音しかしなかった。無人のグラウンドが眼下に広がっている。まるで星と砂漠に挟まれたような気分だった。 「ねえ」と言われて、横を向いたら、きみと静かにキスをした。どこにも邪魔をするものなんていなかった。ぬくい感触のなかで目を瞑り、星と砂漠に包まれる。頷くときみは笑った。二人で一緒に、
飛び降りた。この静寂が、永遠でありますように。
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