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手の平にミミズ


 何本もの釣り針が縫うように手の平に刺さっていた。かえしがついているそれらは抜こうにも抜けず、干からびたミミズのように手の平にこびりついている。次第に手はブルーハワイ味のかき氷のように青くなっていき、私は釣り竿屋の店員に助けを求めた。会員になってから何年かと聞いてきたので、1年だと答えると、それではだめだという。しかし何事も形式というだろう? どこかの国の湖にありそうな青銅の手の平を、眺めている間に。


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© 2017 Kobuse Fumio