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2011年12月10日 皆既月食ツイノベまとめ
〈今宵の空は〉
今宵の空は、されど明るい。自販機は金を望み、民家の窓はまだ眠らない。
紅いというよりも、それは都会の電灯だ。明かりに灯りを注いでも、さして変わりは訪れず。
むしろ電力の無駄として、自販機に居場所をとられたか。
裸眼で見るには遠すぎた。
今宵の月は、やはり冷たい。
〈連れ出して〉
「寒い」
彼女は肩を縮める。
「写真も、うまく撮れないし」
雪が降ってもおかしくなさそうな寒さの中、半ば無理矢理私に連れ出された彼女は、そう不平を漏らしていた。
「それに、あんまり紅くないじゃん」
そう白い溜息をつく。
私は少しだけ後悔した。自分の体を連れ出したこと。
〈皆既月食〉
お、俺の腕がぁぁ! みるみるうちに、紅く豹変していってるじゃねぇか! うおぉ! 腕だけじゃねぇ! 体全部が! だんだん紅くなっていくぅ! うわぁみんな見てるー! 見られてるぅぅ! ちくしょう顔も紅くなっちまったぜ。ハズカシー。
以上3作品。タイトルは掲載にあたり新しく付けたもの。
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© 2011 Kobuse Fumio