あなたの頭の数多の妄想。それらがすべてブロントだったとしたら。
ブロントが一人、ブロントが二人。ブロントが三人、ブロントが四人。ブロントが五人集まったなら、六人目のブロントが現れる。
あなたの頭の中で、ついにブロントが十人集まった。彼らはかの有名なブロント討伐隊のメンバーだ。
ブロント一行は旅をつづけ、ついにブロントの城へ到達した。次々と魔物のブロントをなぎ倒す。
あるブロントはミスリルの剣を振りかざし、あるブロントはミスリルの弓を構え、あるブロントは炎の魔法を唱える。
そして城の中央に、ブロント。そのブロントはブロントにメテオを撃った。ブロントは足が鈍いうえに魔防が低い。ブロントは死んでしまった。
それを見て、仲間のブロントは歯ぎりし、「ブロントめ、よくも!」と剣を振りかざし詰め寄る。
しかしそれを、妖精のように小さな体のブロントが制止した。
「ブロント、今こそ冷静にならなきゃだめよ」
「ブロント……」
「私に考えがあるわ。ブロント! 回復をお願い」
大回復の杖を持っているブロントが、二人のブロントに駆け寄る。
「私もメテオを撃てるの。だから私が、この距離からブロントにメテオを食らわせてやるわ。でも、向こうもメテオを撃ってくる」
「じゃあ、わたくしがブロントさんを回復で援護するということですね!」
「そういうことよ、ブロント」
剣を持っていたブロントは、ぼーっとしたのち、「え、おれは?」と妖精ブロントに聞き返す。「あんたは用なしよ」「そんなぁ!」
こうしてブロントとブロントの泥試合が決行され、ブロント一行はついにブロントを討伐した!
ブロントは皆喜びに目元を濡らす。しかし、一人犠牲者を出してしまった。ああ、ブロントよ。我々はきみのことを一生忘れないだろう。
「これで終わったと思うなよ……」ブロントの最後の言葉。そう、ブロントは何度でも生き続けるのだ。
ブロントの戦いはまだまだこれからだ!