「あなたには愛が足りない」
光の精霊にそう言われたので、プロトタイプ-01は愛を探しに行くことにした。
草原には人の拳ほどのキラービー。このキラービーが数千年もすると、人よりも大きなファイアービートルという種に進化するのだと、未来から来た火の精霊が言っていた。光の言うことはよく聞いていなさいとも。光は精霊の中でも一番の、あなたのための大道具さんなのだからと。
愛はどこにあるの? プロトタイプ-01はキラービーに訊いてみた。キラービーは翅を鳴らした。
「おい、嬢ちゃんあぶねえぞ」
ふいに声をかけられた。声をかけてきたのは鎧をまとった人間だった。
「それはただの蜂じゃねえんだ。魔物の一種なんだよ」
「知っています」
「そうかい。こんなとこまでなんの用だい。用があるなら俺たち討伐隊が警護してやるぜ」
「私は愛を探しているのです」
人間は眉を垂らしてへえと言った。
「そりゃまた難しいもんをお探しで」
「どこにあるかご存知ですか?」
「さあな」
鎧は翅を鳴らさなかった。人間にも愛は足りていないのかもしれないと、プロトタイプ-01は考えるのだった。