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きみは炎


 村の広場ではブロントとブルースとジルバが、走り回っていて、ああうるさい! わたしはそうやって平和に怒鳴りつけていた。
 でもそうやって怒っていると、必ずきみがわたしを慰める。きみはわたしの相棒だった。
 名前は、付けてはいなかったけれど、ただ呼ぶときは「炎」と言っていた。
 きみは炎。わたしの妖精だった。
 男子たちを叱るとき、森に探検に行ったみんなを追いかけたとき、テミが引っ越してきたとき。いつでも炎は、わたしの傍にいて、烈火のようにわたしに力をくれていた。
 きみがいたからわたしは、強い魔法使いでいられたんだ。

 ***

「ってのを見つけたんだけどさ」
 ブルースが、苦笑いをしながらわたしの過去の妄想日記を示す。
「この、炎の妖精?ってあれだよね。この年頃特有の、あの」
 やめれ。まじやめれ。
 わたしはブルースから日記帳をぶんどった。こんなもの燃やしてやる。アアッ、でも燃やせないわたしの思ひ出。
「まあまあ。見えない動物でも、あのときはずっとそばにいたんだよねー」
 いつの間に話に入っていたティンクが、わたしを茶化す。
「架空の妖精を日記に書くとか、まじうけるー」
 当の妖精に言われたくはない。
 わたしは無言でその場を立ち去った。あ、逃げるの? そうティンクが聞いてくるがそうだよ逃げるんだよ悪いか。
 自分の寝床に潜った。まだ眠る時間ではない。

 そして枕に顔をうずめて、足をばたばた、ばたばたばたばた。。。
 旅に出る前は、自分のそばにずっと架空の妖精が一緒にいる気分でいたわたし。
 うわああ思い出したくねええ厨二の頃の自分消えろまじ消えろばたばたばたばた。
 でも。。マゼンダと妖精ゎ。。ズッ友だょ。。。!


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