-


トップへ戻るテンミリオン二次創作一覧に戻る


念願の主役



[画像で読む]
 ティンクは考えていた。彼女は迷える妖精である。思考には糖分が必要だ。ティンクは特盛りのパフェを食べていた。彼女の体よりも大きなパフェである。
 さて、彼女が考えていたことはただひとつのことであった。彼女はこの小説の主役を得たのである。彼女の行動ひとつひとつが、この小説の展開を決定づける。では彼女は、果たしてどんなストーリーを演出するべきか。
 恋愛ジャンルにするか、それとも冒険活劇にするか。あるいは抱腹絶倒のギャグ小説にしてもいいかもしれない。ティンクは考える。考えると頭が疲れる。頭が疲れるから、パフェを食べる。頬や額に生クリームをつけながら。
 これは重要な選択である。もし事前に何も考えずに行動を起こし、この喫茶店から出ようものなら、無計画なストーリーは途端に破綻してしまうだろう。ティンクは充分に唸りながら糖分を摂取する。念願の主役なのである。失敗はしたくない。
 パフェはまだ氷山の一角しか現れてはいなかった。細長のグラスから覗くクリームとクッキーは、ティンクの脳内を存分に活性化させながらも、大量に残存している。
 しかし、ティンクに与えられた時間は、このパフェほど残っていない。そう、この小説には分量制限があったのである。ティンクは焦る。焦りながらも考える。悩んでいる間に、どんどん紙が埋まっていく。もう残りわずか。彼女は主役を得ながらも、何もできなかったのだ。
 でも諦めるにはまだ早い! そうだ彼女はフードファイターになって特盛りパフェをアアッ文字数。



ツイート

トップへ戻るテンミリオン二次創作一覧に戻る