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陽は落ち、月は満ち、野花がわだち
となりし馬車。
時を懐かしみ、涙に沈み。テミは
隣の頭をそっと撫でた。もう伸びない髪を。

十五の月影出る度に、この呪われし身は
人を襲い、か細い命を吸い尽くす。
それを防がんとした君はさながら聖顔。
もう愛おしい心臓は動かない。

花の冠はこうべを垂れ、星は晴れ
月は薄らぎ、地平は揺らぎ、テミは瞬き
身悶える。十五夜を越える際の痛みは抑える術を持たず
硬い体毛と鉤爪が縮み、人の姿へと変容した。


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