「なぁおい、今なかなか重要なシーンだが、気づいたことがあるから話していいか?」
「何だ?、天才」
「この作者感想返信していない」
「………………、天才」
「どうする?」
「ん……じゃ、物語終わってからにするか……、天才」
「それでいいのか?」
「う~ん、天才」
「ところで、もうひとりはどこ消えたんだ? 前回の出番から出てねぇじゃねぇか」
「って、皆はっ!?」
数秒遅れて反応するブロント……。
まだ事態を把握できていないらしい。
「消えました」
「はぁ!?」
素で驚くブロント……。
新鮮でも何でもねぇや。
この事態は前々から分かっていた。
僕が書いた小説でも、こんなシーンはあった。
「大丈夫。きっとまた会えますよ」
のんきだな……僕。
その時。
ほんと……どのときだよってツッコみたいところだけど。
男が、現れた。
それは本当に突然で。
それは本当に突飛で。
それに僕らは全く気づかなかった。
まるで。
まるで今までもとからそこにいたかのように。
まるで太古の昔からそこにいたかのように。
男が、いた。
男が、いる。
大きなマスクに奥の全く見えない真っ黒なサングラス、濃いピンクのジャージ姿、両の手は上着のポケットにしまってある。
って……ピンクのジャージって……。
男は何も言わず、動かず、ただ、そこにいた。
「ってうわお! お前だれ?」
という数秒前のブロントのリアクションも無視して……。
ただ、僕を見つめていた。
「 」
何か、言ったかのように男が口をマスクの下から動かす。しかし、何も聞こえない。
男は、やっと動いた。
僕に近づいてくる、と思ったら、男は僕を通り過ぎて後方のコンピュータめがけ手を振りかざし――
壊した。
チョップで、壊した。
それこそ、昨日のあいつらの宴会騒ぎに匹敵するほどの、大きな音がした。ついでに、いや、さらに、目に見えるほどの衝撃波が来る。
ガバッと、ブロントが僕を抱えて部屋を飛び出した。
これで、現在僕の部屋に使用できる家具は、なくなった。
ついでに、壁も、直したばかりなのに……ボロボロになった。
ブロントがらしくもなくキリッとした顔で僕に「大丈夫か」と声をかけてくる。
まぁ、爆音のせいで実は何も聞こえなかったけど……。
「 」
男が、何か話した。相変わらず何も聞こえないが、口の動きを見なくても、何か言っているようだった。
こんなシーン、僕は書いてない。
([31]へ続く!)