おりじなる小説MAKER A面


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 僕、井上雄二は、テンミリ小説18作目を執筆中だ。
 書きすぎだな、僕。
 まあ、受験生まではこのペースでいいか。
「お~い。開けるぞ」
 名言という僕の兄はそう言って僕の部屋のドアを開ける。
「ねえ、兄ちゃん。なんでテンミリのブロントと名前が一緒なの?」
「うん? そんなの母さんか父さんに訊けよ」
 ピンポーンと、家のチャイムが鳴る。
「はあい」
 母、井上朋は出る。
「あ、洋一君。どうぞ、入って。雄二は自分の部屋にいるから」
「おじゃまします……」
 ガラ、とドアを開ける関野洋一。
「なあ。皆何も覚えてないのか!?」
 第一声がそれだった。
 僕は、一生彼の言うことが理解できなかった。

(おわり)

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