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04□ 蝋燭


 蝋燭の灯火かつどう
 わたしの一息で終わらせられる

 蝋燭のいのちを壊すには
 だけど灯火させないといけない
 それは面倒臭い

 蝋燭のえいようは増えぬまま
 わたしはそれを一気にへし折る

 わたしに相応しい玩具をください
 例えばわたしの眼鏡に適う
 わたしでは壊せない玩具をください

 ころしたい

 その衝動を抑えるものをください
 その衝動を圧するものを恵め

 蝋燭の灯火かつどう
 暗闇でなくとも使えてしまうのが
 まるで鬱陶しくて
 それは論理に反するのだから
 わたしの論理と相異なるのだから

 蝋燭を一息にへし折る

 簡単に折れて
 灯火は床のカーペットに広がった




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© 2012 Kobuse Fumio