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20△ 読めない本


 読書は一向に進まない
 考え事をしているからだ
 私にしては珍しいことで
 本の世界観を放っぽり出して
 まるでノータリンの子みたいに
 あのバカのことを考えてる

 たぶんあのバカは
 もう私と向き合おうとしない
 昨日の消えた私たちは
 肯定を忘れて水を流しているみたいに
 全てを否定しないと生きていけないの

 もうあのバカと
 キャンプに行って 一緒のテントに入ることはない
 私がバカだった
 否定なんて忘れて あのバカについていけばよかった
 それだけだったのに

 読書は一向に進まない
 それどころか文字も読めなくなってきちゃって
 まるでノータリンの私は
 それでもあのバカを諦めきれないでいる




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© 2012 Kobuse Fumio