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23△ 明日の見えない私たち


 あのバカと コンタクトにしたらしい女子
 やつらが正式に恋仲になるのは 割とあっという間のことだった
 それはもちろん 端からみれば喜ばしいことで
 みんな祝福してて たまに妬んでて それだけで

 本を閉じたのは私だけだった

 いつか 私はあのバカと討議した
 今ここに存在している私たちは 昨日とはまた別の次元の存在なんじゃないのかって
 昨日の私は 昨日の私でしかなく
 今日の私と昨日の私は 別人なんだって

 だったら 明日の私は 誰だろう

 今となっては
 あのバカと言葉を交わすことはできないけど
 もし話すことができたなら
 どんな意見を繰り出してくるのだろうって

 否定と肯定

 もう忘れることも思い出せなくなっていて
 終わりを告げる煙が
 窓越しの林から昇ったとき
 ああ 終わってしまうんだって

 明日の見えない私たち

 こうなることは 今になったから分かっていたことになっていて
 前は きっとこうじゃなかったんだ
 これからどうなるのか 終わるのかなんてそんなこと
 誰にも 分かるはずなかったんだ

 私の明日は私のせいでこうなったんだ




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© 2012 Kobuse Fumio