おりじなる小説MAKER A面


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「へっへ~、また俺の勝ち」
 少年……青年?……と、いうより、クロウは、碁会所にいた。
 碁会所というのは、くだけていえば囲碁を打つところである(有料)。
 クロウは、なぜかここのトイレにいた。
「うわっ! ここどこだ!?……………、? 金の匂いがする……」
 クロウは扉をあけた。
「? ボウズ、お前いつからいたんだ?」
「あぁ~チクショウ。半目たりなかったか」
 男は男に福沢諭吉を二枚渡した。
「ピッキーン!」
「? 何だ今の効果音」
「おい、おっちゃん。あれなんだ?」
「うん? 賭け碁だよ。ボウズにはまだ早いかな」
「賭け……碁?」
「そう、賭け碁」
「おっっちゃん! その……碁っつうやつを教えてくれ!」
 んで、今に至る。
 現在三連勝! クロウは二万三千円手にいれた。
「おいおい、囲碁っつうのはなぁ、そう簡単なゲームじゃねぇんだ。ずるしてんじゃないだろうな」
「俺が天才なだけだよ」
 ガラララッと、戸が開く。
「あっ、仁兄ィ」
 そこからは、いかにも「や~さん」な感じのサングラス男が現れた。
「妙に強いボウズが来たらしいじゃないか」
「は、はい。あいつです」
 すっ、と男は福沢諭吉と野口英世の顔を観察しているクロウに目を遣った。
「ボウズ、名は」
「クロウ」
「俺は箱根仁蔵。ここのオーナーだ。今から俺と一局どうだ」
「10万」
「?」
「ここのおっちゃんたち、俺をガキだと思ってそんなに金くれねぇんだ。だから、俺が勝ったら10万な」
「おいボウズ。負けたらどうする気だ。10万も持ってねぇだろ」
「俺、負けないよ」
「ふん、いい心構えだ。気に入った」

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