「ちょっと……ちょっとちょっとちょっと!」
「何?」
「なんでリン、出てっちゃったの」
「『仲間の気を感じた』とかなんとか……」
「はぁ?」
「あっ、ちょうど良かった。私くーたんのトコ行くから留守よろしく♪」
ちなみに、くーたんとは僕の姉、関野琴深の彼氏のことである。本名は知らない。まぁ、会話の題材になるだけで、登場しないから……、させないから……。
「んじゃ」
いつのまにか姉は消えていた。
速っ!
というわけで、家にいても暇なので、リンを探しにいくことにした。
留守番? 何のこと?
家を出たら、いや、扉をあけたら、目の前にはリンがいた。
「あっ」
「洋一……くん」
「は、はい……?」
探す必要なくなっちゃった。
「さよならを言おうと思って……」
「へっ?」
「仲間の位置が分かりました。そちらへ向かいます。長居をしました、面目無い。こんな服まで貰っちゃって……」
たしかに……リンはチャイナ服ではなく、パジャマを着ていた……、って
違うから! それ、違うから!
「リンさん、それはパジャマです。それで外を出歩いてはいけません」
「あっ、そうなの。じゃ、返します」
パジャマのボタンを開け始めるリン……って、それも違うから!!
「いやいやいや。どうぞ家へどうぞ。姉の部屋で着替えてください」
「うん? そうなの? じゃ、お邪魔します」
「おい、何だよこいつら!?」
「邪魔邪魔。もう」
「警察だぁー。お前らは既に包囲された。観念してとっとと捕まれぇー」
「あっ。この人たち治安維持の人たちだよ。僕らを犯罪者だとでも思ってるみたい」
「ブルース、お前解説役も貰っていたのか」
「いいや、盗んだんだ。u17から」
「だぁーかぁーらぁー! お前ら不法侵入だって!」
僕の、井上雄二の通う学校のはじめてのことだそうだ。こんなにもパトカーがたくさん来たのは。
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