おりじなる小説MAKER A面


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 雨は下校時間までには止んだ。おかげで体育は室内(体育館)になったが、雨のにおいというのはなにか気を緩めるような感じがし、それでも今朝の憂鬱は消えてはくれなかった。
 たとえば、今こうしてとぼとぼ歩いている中、またポツポツと降り出して、しだいに大雨になって、僕はずぶぬれになって(なってなってうるさい)、この気持ちが洗い流されたりはしないだろうか。
 しかし、などという逆接なんて使うまでもなく、何事もなく僕は家に到着した。
 とりあえずコンピュータをつける。宿題がたくさんでているが、まだ中1の僕に内申点の心配なんてしてもらっては困る。
 そして、事は起こった。いや、怒ったのかもしれない。
 きづけば僕は……、ここはどこだ?
 わたしはだぁれ?……じゃなくて僕は井上雄二だけどぉ、草原?

 きづけば僕は、草原にいた。

 って、はい?
 そんな時(てどんな時だよ)なにかうめき声が聞こえた。
「うぅ」
 という感じの。
 どうしようかと一瞬(3.46秒)考えたが、とりあえずここがどこか分かるかもしれないと思い、その声の方向へ向かった。
 と、その時!(だからどの時だよ!)
「ジィルバ~、さぁがしぃたぞ!」
 という女声が飛び込んできた。
「ミ……ミドリ……さん」
 うめき声がそう言う。
「って、どこだぁ?」
「こ……ここ」
 と、急に僕の目の前に緑髪の女性が現れた。
「!」
 いや、ミ、ミドリだ!
 あの「テンミリオン」のミドリだ!
「ん? 坊や、誰? なんでこんなアブナイとこにいてんの?」
「いや、そのあの」
「うぅう」
「あ、そうだ。ジルバ取りに来たんだった。じゃあ君も手伝ってくれる?」
「あ……はい」
「ん。君名前は?」
「井上、雄二です」
「そうか、よろしく。あたいはミドリ」
「うぅ」

([3]へ続く)

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