「いや、いやいやはやはや……。なかなかいい子じゃないか。あの雄二という少年は。わしが何かする前にことは済みそうだ」
「そのようですね……はぁ」
「今のは返事か、ため息か?」
「肩の荷が落ちる……っていう選択肢はないんですか」
「ふふ」
エリーが、笑った。
微笑んだ。微笑み、微笑んだ。
笑った……。
そう見れない光景だ。
一年ぶり……くらい?
と、エリーの眼鏡が急に割れた。勿論、それは顔にかけていた状態だった。
「はっ」
そう見れない光景なのに、1秒ともたなかったじゃねぇか。
エリーが大勢を崩す。
ジルバがその体を受け止めた……って、いつのまに。
しかし、なぜ……。
炎の矢……矛先が燃えている矢が飛んできた。
私、ルファは、それがきた方向へ目を凝らす。凝視する。
そこには大勢の、人がいた。
人。
そう表現するしかできないほどの多種・多職の人物……、兵士・農民・商人・技術士・移住民族……。その「人」たちは、それぞれの道具を……武器をもって、こちらへ躊躇なく近寄ってくる。近づいてくる。
これが……「団結」か……。
何か同一の目標をもった者の集まり……。
矢の波が来た。
矢の橋が出来た。
矢の龍が、現れた。
矢?
それだけではない。
魔法の書をもっている人がいる。
矛と盾をもった人がいる。
剣を握った人がいる。
つまり、奇襲。
なぜだ……。
これが、奇襲。
つまり、戦争。
つまり、殺戮。
つまり、死の始まり……。
ならば、いや、「しかし」それに従い動くのが、「人」。そう、今定義しよう。
定義しよう。
さっき、エリスが魔法の書をもってきたはずだ。
「戦う」
「ルファ……?」
今のはだれの台詞だろうか……分からない。
「殺生の、許可をする。戦え。そして、生きろ」
(続 to [23])