おりじなる小説MAKER A面


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[22]

「いや、いやいやはやはや……。なかなかいい子じゃないか。あの雄二という少年は。わしが何かする前にことは済みそうだ」
「そのようですね……はぁ」
「今のは返事か、ため息か?」
「肩の荷が落ちる……っていう選択肢はないんですか」
「ふふ」
 エリーが、笑った。
 微笑んだ。微笑み、微笑んだ。
 笑った……。
 そう見れない光景だ。
 一年ぶり……くらい?
 と、エリーの眼鏡が急に割れた。勿論、それは顔にかけていた状態だった。
「はっ」
 そう見れない光景なのに、1秒ともたなかったじゃねぇか。
 エリーが大勢を崩す。
 ジルバがその体を受け止めた……って、いつのまに。
 しかし、なぜ……。
 炎の矢……矛先が燃えている矢が飛んできた。
 私、ルファは、それがきた方向へ目を凝らす。凝視する。
 そこには大勢の、人がいた。
 人。
 そう表現するしかできないほどの多種・多職の人物……、兵士・農民・商人・技術士・移住民族……。その「人」たちは、それぞれの道具を……武器をもって、こちらへ躊躇なく近寄ってくる。近づいてくる。
 これが……「団結」か……。
 何か同一の目標をもった者の集まり……。
 矢の波が来た。
 矢の橋が出来た。
 矢の龍が、現れた。
 矢?
 それだけではない。
 魔法の書をもっている人がいる。
 矛と盾をもった人がいる。
 剣を握った人がいる。
 つまり、奇襲。
 なぜだ……。
 これが、奇襲。
 つまり、戦争。
 つまり、殺戮。
 つまり、死の始まり……。
 ならば、いや、「しかし」それに従い動くのが、「人」。そう、今定義しよう。
 定義しよう。
 さっき、エリスが魔法の書をもってきたはずだ。
「戦う」
「ルファ……?」
 今のはだれの台詞だろうか……分からない。
「殺生の、許可をする。戦え。そして、生きろ」

(続 to [23])

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