おりじなる小説MAKER A面


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[37]

 そういえば、洋一が今日、学校を休んだ。
 ………とかあれば出番も増えるだろうに、しかしそんなことはなく、洋一も、勿論僕も、1時間目の授業を受けている。
 まぁ、いまのは余談。
 今回は、いままでで一番出番の少ない1年2組の担任、おそらく国語担当の、好井寛文先生が視点の主となる。
 これからこれから。好井の出番は。
「好井さん」
「はい?」
 なんか、私と同じく国語担当の山下久子先生(えっ、まだ新キャラ出るの!?)に呼び出された。
「何でしょうか」
「連いてきてください」
 別に断る意味もないので、連いていく。
 で、体育館裏の倉庫前。
 で久子先生ストップ。
 で振り返る先生。
「お願いっ!」
 急に頼まれた。
「………ええっと……何を?」
「これ、天辺先生に渡してきてください」
 なんかの書類を差し出す久子先生。
「私、あの人はどうも苦手で…」
「はぁ、そうですか」
 それは私も同じなんだけどな…………。
「分かりました」
「本当ですかっ!?」
 尊敬のまなざしで目を輝かせる先生……。
「じゃ、はい」
 先生は、書類を強引に私に渡して、飛んでいってしまった。
 ここでひとつ、解説。
 好井寛文は、台詞では「僕」と言うがそれ以外では「私」と言う。
 はっは~。先手を取ったぜ。
 で。
 にしても1行一文字ってぇのは、なんかいいよな。
 どこがだ。
 ……という意味の分からん誰かさんの一人ボケツッコミなんて好井は無視して、職員室へ足を運ばせる。
 まぁ、もとからそこへ行くつもりだったんだけど。
「天辺先生」
「うん?」
 ニタニタした顔でこちらを向く天辺武雄。……先生。
「これ、渡すようにと」
「誰から?」
「あっえーと…」
 どうしたものか……。
 ここで久子先生の名を出して大丈夫なのだろうか。
「とりあえず、どうぞ」
「う? ああ。ありがとう」
 早速書類に目を遣る天辺……、もうこちらなど目にも入ってないんだろう。
 まぁ、これでひとまず一件落着。
 ……だったら良かったんだけどな。
 急にそわそわしだす天辺。そして――
「おい、えぇっと……好井ナントカ。これをどこで手に入れた」
「はぇ? 僕は寛文です」
「まぁいい。それは後だ」
 どたどたと職員室を出る理科1分野担当天辺武雄。
 まったく……普通ならこれで一件落着なんだが。
 他の先生方が、迷惑そうな顔で僕を睨みつける。
 久子先生は気まずそうに私を見る。
 ………そんな顔で見るなよ。泣きたくなるじゃないか。分かったよ。あいつを追いかければいいんだろ?
 物語の進展のために、私がその嫌な役を担うんだろ。
 よくもやったな、作者。呪ってでてやる。
 しぶしぶ私は職員室を出る。
 出た、が目の前には、天辺武雄がいた。
「よお」
 やはりニタニタした顔で、私へ笑いかける。
「悪いが、お前には働いてもらう」

([38]へ続く!らしい)

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