おりじなる小説MAKER A面


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[40]

 この世界の歌声 私の詩恋え
 君のところへ 迷わず響けと

 上の意味解らん文は無視して結構。
 さて、物語に入ろう。

 墓。
 急遽マゼンダのわがままで、ある男の葬式が執り行われることになった。
 弐。
 それがその男の名前だ。
 俺、クロウは、その知らん男の葬式に、参加している。
 出来ればいままでの事件、これからの事件について検討していきたかったのだが、一時休戦。こちら側だけは。
 だいたい、ほんの小一時間殺しあったやつに何の未練があるってんだ、マザンダのやつ。
 でもまぁ、泣いてはないよな。
 わかんねぇなぁ。女って。
 いや、テミもリンもマゼンダの行動には首をかしげていたから、きっと女とか男とかの問題じゃないんだろう。
 どんなやつだったのかな。弐って。

 ここで少し、時系列を、さらに視点を替える。
「ええっと、時給10万って聞いたんですけど……」
「おお。うちで働いてくれるのか」
「でも、何をするんですか?」
「仲間の救出だ」
「仲間の……救出?」
「そうだ。ところで、お前はなぜ自給が高いだけでここへ来たんだ? まぁ、そんなの人の勝手だが」
「祖母が……重い病気なんです。だから、金が必要で」
「ふん、そうか。なら、条件次第によっては給料を倍にしてもいいぞ」
「ホントですか!?」
「ああ。まぁ、その前にお前の名前を……」
「あ、僕は――」
「いや」
 言葉を遮る男性。
「名前は、聞かない。仕事場での、お前の名前を新しく付けさせてもらう。そうだな…………弐。弐というのはどうだ」
「『弐』ですか」
 数字かよ。そう弐という名を貰った男は思った。

 三行空いている。つまり、視点が、時系列が変わったんだろう。
 そう、俺はクロウ。
 そういえば、隣のリンも正座こそきれいに正しているが、早く終わらないかなぁ、て感じでしきりに自分の真っ黒い三編の神……じゃなかった髪を指でくるくるとスパゲティのように巻いている。
 ……行儀悪いなぁ。
 まぁ、正座がもたない俺はあぐら掻いてたりしてんだけど。
 葬式。
 そうは言ってみたものの、その弐とかいうやつの親族なんて一人も来ていない。
 どうにか探し出そうとしたらしいが、まぁ、世界は広いもんで。

「しかし、両親はどうしたんだ?」
「ああ。両親は僕が生まれて1年と経たずに事故で亡くなったそうです」
「はあ、そうか。いや、今のはため息か、返事か」
 そう自問自答する参。
「ああ、そうだ。わしは参という。よろしく」
「あ、参さん」
「さんさん?」
「えっと……参、さん」
「いや。呼び捨てにしろ」
「あ、はい。では、参、よろしくお願いします」
「うん。よろしく」
 そういえば。
 彼は、40代前後のくせに言い方が爺臭かった。
 のは、閑話休題。
 で。

([41]へ続く)

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