おりじなる小説MAKER A面


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[41]

「本日も結構なお味で」
 ブロントは言う。
「おそまつさまでした」
 母は言う。
 ちなみに、母とは、井上雄二の母のことである。
 なんか、これからもちょくちょく登場するみたいなので、名前を明かしておこう。
 彼女の名は、井上朋。主婦。趣味を100以上持つ女。
 今は茶に凝っている。
 つぅか、ホントにブロントのんきだな。そのうち痛い目あうぞ。

 …/…というわけで。
 「/」の意味は訊かないでぇ!
 壁に穴が開いた。空いた?
 明いた。
 この壁、何色と言えばいいんだろう……強いて言うなら……肌色? の壁が、明いた。
 きれいに。
 その中からは、そう。あいつだ。壱が、やはりピンクのジャージ姿で現れた。
 マスクにサングラス、今回はニット帽も被って、完全防御(何に)体制。
 で、ブロントに跳びかかる。
 ブロント回避。そして、朋さんを外へ逃がす。
「何だよお前……楽しいお茶の時間がなくなっちゃったじゃねぇか!」
「    」
 何をつまらんことを。今の空欄を訳せばこんな感じ?
 ブロントは、しまっていた剣を引き出す。その名も、勇者の剣。
 なんかブロントのお気に入りだそうで。
 と、思ったら。
 壱が消えた。いや――
 いつのまにか壱はブロントの背後に回っており、拳をグッと握り、おもいきりブロントの背中を一発殴る、というより圧す。
「ぬをっ!?」
 それでも一瞬遅れて壱の肘のあたりを掴むブロント。
 そして、それを引き寄せて――
 空いている左手で顔を殴った。
 それと同時に肘を掴んでいる右手を離し、後ろ向きに倒れるようにする。
 しかし、倒れている最中にくるりと180度向きを変え、床と向き合い、それに両手をつく。そこからまるで逆立ちをするように足をすばやく上げ、まだ近くにいたブロントの顔を蹴ろうとする。
 しかし、ブロントはそれをとっさによけ、代わりにその脚を掴む。
 それを逆手にとってブロントに体重をまかし、背筋を使って海老さながらのポーズをとり、そこからいっきに逆方向にまわる。
 しかし、その目論見はブロントがその手を離す、という行為によって壊滅する。
 そうして重力に逆らえない壱の自由がきかないうちに、勇者の剣をそいつの腹に刺す。
「うぐ」
 壱が、発声した。
「まったく、弱ぇくせにどんなやつだ。顔を見せろ」
 マスクを取ろうとするブロント。
 それになぜか反抗する壱。
 しかし、腹の痛みが廻り、動きをゆるめる。
 マスクと、サングラスも取り外すブロント。
 それを見たブロントは、何食わぬ顔をしていた。
 何食わぬ顔。つまりは、普通の、何にもねぇよ的な顔のことを差すが。
 ブロントは、驚きのあまり何食わぬ顔をしていた。
 そんな表現ない? なら、今作った。
 ブロントは、その顔を見て、驚きのあまり何食わぬ顔から、驚きの表情を見つけ出すことができなかった。
 その顔――壱の、マスクとサングラスを取った顔――は……この先重要なんですけど、テスト出るよぉ~~。
 やっぱ言わなきゃだめかな。
 前のほうのページ読んだら想像つくと思うけど(つかない)。
 でもやっぱ、言っといたほうがいいよな。
 明日にはジルバファンの方々にフルボッコにされそうな気がするんですけど……て、ジルバって言ってもうたやないかぁ~い。
 そうなんです。
 その顔は、ジルバと全く同じ、というか壱は、ジルバだった。

([42]へは続く?)

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