おりじなる小説MAKER A面


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[56]

 昨夜、作者はやっとこの作品の結末を思いついた。
「……て、いままで考えてなかったのかよ、天才」
「うん。そのようだね。あ、僕ら久々に登場!」
「うん。愉快愉快」
「あ、おかえり~、天才。今までどこ行ってたんだ?、天才」
「いや~さあ~。作者が『お前真の黒幕な』的なこと言われて出演ひかえさせられてた」
「ほう。それで?」
「いや、俺はただの傍観者。謎の三人組の一員さ」
「では、さっさと物語を進めよう、天才」

 春が来て 夏も過ぎたら 秋が来て 冬を越したら 春が来て 桜舞散り 夏が来て
 すいかはまずい 飽きすぎて 焼き芋は美味い 冬は来て 連日無休のバーゲンセール

 時は過ぎ 君と出会えた その翌の朝
 十日と経った 十日の日
 十字架にしか見えない 十 の日は
 ただ 君のそばにいたい

 就職が決まった そのことを
 紙に記して 伝えらむ
 ほら 春は来る
 新しい春が

 なんかこんな意味分からんことがあいてある紙が、私のコートの右ポケットに入ってあった。
「何これ」 
 リン。既にこのコートは貰い物だということも忘れ(馬鹿)、駈乃が関野琴深へ向けたラブレターをラブレターだということも気づかずに紙切れと認識し、不思議そうに眺めている。
 ぴらピラーって、ぞうきんみたいに扱って。
 このことに気づくのはいつになるやら。
 まぁ、迷宮入りだろうな……。

「お兄ちゃん」
 テミは呼ぶ、クロウという苦労の多い青年を。
「そんな呼び方をするなって言ってるだろ」
 特に怒った風でもなく、決まり文句のようにそう言ってみせるクロウ。
 あ、えっと。
 ここで注釈を入れさせていただきますと、クロウはテミの実の兄なんです。
 設定上。
「そういえばブロントは?」
「? そういえば見ないな……」
 いや。
 いや。
「ジルバは……まあよくいなくなるから心配しなくてもすぐ帰ってくるか」
 リンは馬鹿。
 いや。
 いや。
 認識。
 テンミリキャラのこいつらは、数日の奇跡を忘れていた。
 否。
 否。
 そもそも何も起こってないんじゃない?

([57]へ続く・・・

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