おりじなる小説MAKER B面


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2.

 んで。次の日。
 え。昨日なにがあったかって?
 そんなの、まあいつか露見することなので今語らなくても――
「おい」
 ぐい、と僕の肩に手を回す金髪女性。
「私はだあれ? ここはどこ?」
「おはようございます。ラッキーさん。あなたの名前はラッキー・ムーアで、ここは僕の家です」
「うん、報告ご苦労」
 手を外す金髪。
 解放された。
 助かった。
 昨日ね、僕、殺されかけたの。
 ………………………まあ、そのへんは伏せておくとして。
 時計を見る。
 ――午後1時24分。
 寝坊だな。うん。
 大学行ってない僕が言うことじゃないけど、遅刻だな。
「で、なんでここにいるんです?」
「うん? 物語の進展のため」
「…………」
「だいじょぶ、だいじょぶ、大丈夫。一度殺しそこねた人は殺さない主義だから。それより、私は何時間眠ってたのかな」
「ええっと。10時間くらいですね。出所したてだそうで。疲れがたまってたんじゃないですか?」
「うん。まあ、いいや。私は帰る、て家ないんだけど、私。う~んと、ジョセラのとこ行くか。でもあそこ意味不明に広いからなぁ」
 それだけ呟いても彼女は、
「んじゃ」
 と、手ぶら姿で玄関まで行く。
 さすが、と言うべきなのか、我が家のように迷いなく歩を進める。
「ああ、あとひとつ」
 ドアを開けたまま、金髪女性は振り向く。
「お前の彼女、名前はリンだな。それと、お前、ブルース。お前ら、2日後に呪われるよ。注意しときな。私は助けないから」
 それだけ言って出て行く金髪、ラッキー・ムーア。
「て、はい?」
 なんだったんだ……。
 昨日いきなり目の前に現れて、今日なぜか僕の家にいて、最後に意味不明の予言をした彼女……。
 これを「暗示」という。
 いや、暗くないし。
 ピンポーン、とチャイムが鳴る。
「やっほー。リンだよー♪」
 さて、仕事しないと。
 僕は仕事部屋へ――
「て、無視すなっ!」

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