「ふあーぁ」
伸びをする。
パジャマのボタンが飛んでった。
「む」
時計を見る。
「て、うわあ一限すっぽかしちゃった」
関野琴深。
私の名前。
「大丈夫、それ、昨日から止まってるから。その針が差してるのは午後11時だよん」
「あ、そうなの。なぁんだ。びっくりしたー」
ん?
「て誰!?」
「うん? 今頃なんだ。同じ物語の登場人物じゃないか。それに、いっとくけどあんた、琴深ちゃんは主人公じゃないんだからね。次のページからはちゃんとした脇役を全うしてよね」
「で、誰――」
「私はラッキー・ムーア。あんたを殺しにきた」
「あ、なぁんだ。そうですかぁ」
「ちょっとは驚けよ!」
「突っ込みの方ですかぁ?」
「……本物だ」
ラッキーはズボンの後ろポケットに忍ばせているナイフに手を伸ばす。
と。
あたりが、一面の白。
気付けば。
ラッキーは、十字架に掛けられていた。